2018/01/13

キャンパスの魅力をつくる、歴史ある建築物(九州大)


おとなにとっての大学の楽しみ方は、公開講座で学んだり、大学博物館に訪れたりといろいろありますが、ただキャンパスをぶらぶら歩くだけでもかなり楽しめます。大学のキャンパスは緑が多く開放的で、ゆったりとした時間が流れているからです。この魅力的なキャンパスをデジタルの世界に残そうという取り組みが、九州大学で行われているようです。

以下、Yahoo!ニュースより。

取り壊される大学のキャンパス 丸ごとスキャンして保存!?将来はVRで散歩も 九州大学 
今秋、伊都キャンパス(福岡市西区)への移転が完了し、取り壊される九州大学の箱崎キャンパス(同市東区)を丸ごとレーザー・スキャナーで記録し、ウェブ上に公開する作業を同大人間環境学研究院の堀賀貴(よしき)教授(建築史)が進めている。消えゆく貴重な近代建築群をはじめ、キャンパス全体が仮想空間に生き続け、将来は仮想現実(VR)技術で懐かしいキャンパスを散歩できるようになる。(後略)

キャンパスをまるごとレーザー・スキャナーで記録するというのは、何とも最先端な感じがして大学らしいですね。しかも将来的にはVRで散歩ができるようになるようで、かなりワクワクします。実際、記事にあるサイトをのぞいてみると、点の集合体によって描かれたキャンパスを見ることができました。幻想的なサイバー空間に浮かぶ箱崎キャンパスがこれからどうなるのか気になります。

サイトに掲載されている箱崎キャンパス
九州大を含め歴史のあるキャンパスには、魅力的なところが多くあります。この魅力をつくる大きな要因は、ユニークで味のある古い建築物たちです。これら建築物は、学生や教職員が今も使っているものがほとんどで、安全性が確保されていなくてはいけません。

しかし、歴史があるだけに老朽化が進んでおり、改修や取り壊しが必要…という話しもしばしば聞きます。近年だと、東京大学総合図書館の改修工事や、京都大学吉田寮の老朽化に関わる大学と学生との対立なんかが有名でしょうか。

利用者の安全に関わるのであれば、取り壊すことも仕方ないでしょう。とはいえ、長い歴史のある大学の建築物は、建築物として価値があるだけでなく、先に述べたように大学の雰囲気をつくりだす重要な要因になっていたり、時には大学固有の文化やアイデンティティと深く関わっていたりするわけで、なくなってしまうことによる損失は思いのほか大きいような気がします。

今回の九州大のように、建築物単体ではなく“キャンパスまるごと”をデジタル保存できれば、当時の雰囲気もある程度残すことができるのかもしれません。本当はそのとき大学にいた人たちの姿まで一緒に保存できるといいのですが、今の技術でやるのは大変そうです。でも、もしそこまでできたとしたら、データを見た人が、その大学にそのときあった文化みたいなものまで感じ取れるような気がします。

これから時代が進むと、取り壊される歴史的な大学の建築物はますます増えていきます。建築物だけでなく、建築物がキャンパスに与えていた影響まで、何かしらのかたちで残すことができないか、考えてみてもいいのかもしれませんね。

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