2017/06/18

ところ変わればニーズも変わる!? めざせ、かゆいところに手が届く入試広報!!(京都産業大)


入試広報のメインターゲットは誰か? というと、もちろん受験生です。しかし、受験生を一つの大きな塊と見なして、情報を投げ込めばそれで伝わるのでしょうか。京都産業大学の取り組みは、そんな視点に立っていて、入試広報としての新たなアプローチの可能性を感じさせてくれます。

以下、朝日新聞デジタルより。

新幹線開通で受験生が…京産大、北陸向け冊子作成 
京都産業大(北区)が富山、石川、福井の3県に住む受験生や進路指導を担う高校教師らに向けた冊子を作成した。2015年3月に北陸新幹線が金沢駅まで開通したことで、京都から東京へと受験生や進学者が流れているとの危機感から、特別なアピールが必要だと判断した。(後略)

受験生単体ではなく、進路指導教員も(明確な)ターゲットに含めている点もおもしろいですが、それよりもエリアを限定して冊子をつくっていることに、この取り組みのおもしろさを感じます。というのも、北陸エリアに住む受験生と、京都産業大の近隣エリアに住む受験生で、知っていることや知りたいことが同じかというと、けっこう違うように思うんですね。

まず知っていることという意味では、京都産業大という名前をそもそも知らない可能性があるし、大学名から産業系の学部学科しかない大学だと思う人もいるように思います。実際はノーベル物理学賞を受賞した益川敏英先生が理学部教授をしていたり(現在、京都産業大学益川塾教授・塾頭)、私立大学最大の神山天文台があったりと、理系分野に強い大学です。

また知りたい情報としては、同郷の学生がいるかとか、就職時にUターン就職が可能か、一人暮らし事情など、教学内容はもちろんですが、それ以外についてもいろいろと情報を欲している可能性が高い。おそらくアクセスマップだって、近畿エリアの電鉄だけではピンとこないのではないしょうか。一方、近隣エリアに住む受験生のことを考えると、多少の知識はあるだろうから、より踏み込んだ情報であったり、地域性を前面に出した情報の方が好まれるような気もします。

とはいえ、大学案内を遠隔地版と近隣版にわけたり、エリアごとにサブパンフをつくったりするのはかなりの手間とコストです。ウェブ広告だったら条件や検索ワードで飛び先のランディングページを変えることは容易ですし、現にわたしが関わっている案件でやっており効果も出ています。しかし、紙媒体となると……すごい手間なんですよね。

でも、です。“かゆいところに手が届く”広報をするには、紙媒体も含めてこれをやらなきゃいけないんだと思います。手間やコストもさることながら、掲載情報、発行時期、届け方など、何がベストなのかをトライ&エラーを繰り返しながら見つける必要だってあるし、それをするための効果検証もしなくてはいけません。想像するだけで大変です。時間もかかりそうです。だけど、大学業界のこれからのことを考えると、それでもやはり入試広報はそこまでやらないといけないんだろうなと、やっぱり思うのです。

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