2016/02/27

何となく学びたい人を大学に吸い寄せる講座(奈良県立大)


大学公開講座の多くは、大学教員が自身の専門分野をひもとき、社会人向けにわかりやすく伝えるものになります。しかし、わかりやすくとはいっても、教員たちの取り組む研究は、難解だったり、マニアックだったりで、一般の人が気軽に聞くには少々ハードが高い、なんて場合も少なくありません。そんななか、今回、見つけた奈良県立大学の取り組みは、ハードルが低く、おとなが大学で学ぶいいきっかけになりそうです。

以下、朝日新聞デジタルより。

シニアカレッジ、受講生募集中 
もう一度学びたい、というシニア世代の願いに応える講座の受講生を奈良市の県立大学が募集している。国語や社会、英語などで、高校の授業内容を中心に、教科書を使って、4月から1年間かけて学ぶ。 

講座「シニアカレッジ」は2014年春に開校した。科目は現代文と古典、日本史、世界史、英語A(高校1年相当)、英語B(中学3年相当)。1コマ90分の授業を週1回、年間35回受ける。高校の教科書をベースに元高校教師らが指導にあたる。(後略)

この講座、かなり変わっていますよね。教える内容が大学の研究成果とひもづいていないだけでなく、講師も大学教員ではなく元・高校教師。これってわざわざ大学でやる意味があるの? と思う反面、もしかしたらすごくいいアイデアなんじゃないかという気もします。

中学・高校の勉強は、ほとんどの人が過去に学んできた内容です。通常の大学公開講座だと、その講座についていけるだろうかとか、自分の知りたいことと本当に合っているのだろうかとか、けっこう受講を決めるまでに悩んでしまいます。でも、中学・高校の授業内容だと、ある程度イメージがつくので、受けるうえでの心理的ハードルがあまり高くない。さらにいうと、一度、学んでいる内容のため、理解するのもそこまで苦労しないんじゃないでしょうか。

具体的なテーマを決め切れていなくても、何かを学びたいという漠然とした欲求をもつ人は、実はけっこういるように思っていて、そういう人たちが最初の一歩を踏み出すのに、これはなかなかいいきっかけになるような気がします。

それに、これはお子さんがいる人だと頷いてくれると思うのですが、子どもの教科書をのぞくと、ノスタルジーな気持ちと一緒に、あ、ちょっと勉強したいかも、という気持ちが湧いてくるんですね。奈良県立大の講座は、この勉強したいかも、にも応えてくれる講座なように思います。でも、こういった人たちをターゲットにするなら、奈良ではなく大阪で開講するとか、土日に開講するとか、そういった配慮が必要になりそうですね。

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