2015/09/06

一般向けの取り組みを社会に浸透させるには


今年の5月から「ほとんど0円大学」という大学の一般の人を対象にした取り組みを紹介するウェブマガジンを運営しているのですが、これら取り組みの社会への浸透はまだまだだなぁとつくづく感じています。こういったなかで、社会に浸透させるナイスアイデアを感じさせる取り組みを見つので今回はそれをご紹介しましょう。

以下、リセマムより。

ヨコハマ大学まつり、市内30大学が体験教室ほか  
横浜市の大学・都市パートナーシップ協議会による「ヨコハマ大学まつり」が、10月3日~4日に開催される。クイーンズスクエア横浜を会場に、体験教室やキャリア教育講座などを実施する。一部の講座は事前申込みが可能。 
大学・都市バートナーシップ協議会は、横浜市内の大学学長と横浜市長の意見交換の場として平成17年3月に設立された。「ヨコハマ大学まつり」は、同協議会に参加する大学が組織する実行委員会が主催。参加大学30大学が一堂に集まり、最先端の教育内容と学生のパワーを活かして、新たな魅力の発信を図る。(後略)

受験生向けの広報は、受験生が大学について知りたい、という意識があるところに情報を投下するのですが、一般向けの場合そうではありません。多くの場合、興味がないというより、“大学を使う”という発想自体がない。そういった状態の人たち、つまりゼロの人たちに気づきを与え、興味を感じてもらい、大学に引っ張っていかなくてはいけません。しかも、受験生向けの広報ではないため、避ける予算もあまりない……。

いろんな大学が集まって一つのイベントをつくりだす「ヨコハマ大学まつり」は、こういった状況下で、社会に認知・浸透させるためのとても良い方法をとっているように感じます。まず、たくさんの大学が集まることで、取り組みにインパクトが出てくるし、インパクトがあることで各メディアに取り上げてもらいやすくなる。さらに、参加する大学がめいめいでプレスリリースを発信することで、一般の人の目に留まる確率がさらに上がるからです。

ちなみに、「ヨコハマ大学まつり」と少し似た考え方の取り組みとして、関西で開催されている「公開講座フェスタ」というものがあります。こちらは、大阪府・兵庫県・奈良県の複数の大学・研究機関が集まり、1講座500円でリレー講座を開催するというもの。1会場で開催されるため、わざわざ各大学に足を運ばなくても良く、1日に複数の講座を受けるなんてことも可能です。

また、複数の大学で行う取り組みは、いくら興味があってもいち大学ではどうしようもない……と思ってしまいがちですが、なかなかどうしてやり方次第で、似たようなことが実現できます。

たとえば、京都大学が開催する「京大ウィークス」。これは期間を決めて北海道から九州まで全国各地にある京大の研究施設を集中的に開放する取り組みです。いち研究施設の開放だけではどうしても地味ですが、20以上もの施設が一斉に開放するとなると、かなりのインパクトが生まれます。

また、早稲田大学の「早稲田文化芸術週間」からも同じものを感じます。これはおよそ2週間の間に、早稲田の行っている文化普及活動や社会貢献活動を紹介するシンポジウムや展示、コンサートなどを一挙に開催するというもの。開催期間にホームカミングデーを実施するというのが、なかなかミソです。

うえ二つとは切り口が異なりますが、関西学院大学の「ランバスラーニングコミュニティ」についても触れておきましょう。

関西学院では、公開講座や科目等履修生制度など、社会人向け取り組みをすべてまとめて、創立者の名を冠した「ランバスラーニングコミュニティ」という名称をつけています。このコミュニティに登録(無料)しておくと、社会人向けの取り組み情報がメールで送られてくるとのこと。関学の生涯学習情報のメルマガといってしまえば、それまでなのですが、名前ひとつつけるだけで、独自性が出てくるし、グッとステキに見えてきます。

他にも探していくと、いろいろと見つかりそうですが、とりあえずは今回はここまで。内容は取り組みごとに違いますが、テーマ性を持たせて集める、という点ではどれも同じです。一般向けの取り組みは、大学のメインストリームから外れたものになりがちなので、このように団結して協力するスイミー的な発想があると、予算をかけずに大勢に刺さるものができるのかもしれませんね。

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