2015/04/26

学生寮という愛校心を育む装置(京大)


国際教養大学で入学後1年間の寮生活が義務付けられていたり、早稲田大学に昨年、国際学生寮WISHが建設されたりと、最近、学生寮の話題をよく目にします。

とはいえ、学生寮自体はここ最近急に増えたわけではなく、ずっと昔からある大学にはあるわけです。そんな、ずっとある学生寮の中で、特に古くて有名なものの一つに京都大学の学生寮「吉田寮」があります。この吉田寮が、このたび大きく変わるようです。

以下、朝日新聞デジタルより。


京大吉田寮に新棟完成 現棟交渉は続く  
国内にある学生寮で有数の歴史を誇る京都大学吉田寮(左京区)に新棟(西寮)が完成した。かつては学生運動の拠点となり、1980年代には廃寮を決めた大学と学生側が激しく対立。現在も築100年を超える寮の建物(現棟)のあり方をめぐり交渉が続く。新棟は3月27日に完成し、4月1日に自治会の代表者に鍵が引き渡された。(後略)


吉田寮というと、森見登美彦氏の小説『四畳半神話体系』のモチーフにもなった、京大の何だかよくわからない自由奔放な雰囲気の象徴ともいえる建物です。今回、新しい棟ができたようですが、以前からある棟も取り壊されることなく並行して使われるようで、京都大学ファン(?)としては、ちょっとホッとしました。

また記事には1980年代に廃寮をめぐって学生と対立があったとありますが、やはり学生寮は寮生にとって生活の基盤になる場であり、たくさんの思い出が詰まった場所です。おいそれと無くしていいところではなかったのでしょう。

近年、大学関連の仕事をしていると、卒業生との接点をいかに持つか、さらにいうと卒業生から寄付をもらったり、子息を自校に進学させてもらったりできる関係性をいかにしてつくるかが大きなテーマとしてあるように感じます。

卒業後も大学と強い結びつきをもつ卒業生というと、体育会系のクラブ出身者に多い印象があるのですが、寮生も同じように優良な卒業生になる資質があるのではないかと思うのです。というのも、学生時代の思い出が濃密であればあるほど、卒業後も大学のことを忘れないわけで、学生寮で生活する場合、24時間、365日(厳密には違うのですが……)、大学と関わっているため、思い出の密度が他と違うように思うからです。

それに、欧米の名門大学では収入の一部を卒業生からの寄付に頼っており、こういった大学の学生の多くは学生時代を学生寮で過ごします。キリスト教圏は、日本より寄付の文化が定着していますが、寄付先に卒業大学を選ぶのは、やはり愛校心があるからに他なりません。この愛校心を生み出すのに、学生寮は大きな役割を担っているのではないかと思います。

学生寮が協調性や自立心などを育むうえで有用だというのはよく聞きます。でも実はそれだけでなく、愛好心を醸成する場としても、かなり大きな意味を持つのかもしれません。もしそうだとすると、2018年問題が間近に迫った大学にとって、学生寮を利用した愛校心の醸成は取り組む価値のあるテーマなのかもしれませんね。

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