2015/03/21

大学を伝える雑誌と、雑誌っぽい大学案内(近大)


そろそろ各大学の大学案内ができはじめ、次年度入試に向けて広報活動が動きはじめる時期になりました。

私自身、毎年いくつかの大学案内の制作に関わっているので、今ぐらいの時期になると校正作業などでどうしてもドタバタとしてしまいます。とにかく、大学案内はボリュームがあるので、これはもう仕方のない感じなのですが…。

で、今回取り上げるのはこの大学案内について。基本的に大学案内は大学の情報が一通り載っている総合パンフレットという位置づけです。しかし近畿大学は、この大学案内をこれまでにない発想でつくり話題になっているようです。

雑誌っぽい大学案内という謎の冊子。

 近畿大学『Kindai grafiti』 http://kindai.jp/special/kg/

ページをご覧いただくとわかるのですが、従来の大学案内とはかなり違います。とにかく楽しそうです。

実は、今でこそオーソドックスな大学案内が増えていますが、78年ほど前は“雑誌っぽい”大学案内がけっこう流行りました。理由は「大学案内の誌面がカタく、活字離れを起こしている受験生は読まないであろう」という意見が多かったからです。

とはいえ、雑誌は雑誌、大学案内は大学案内。目的が違えば、作り方も違います。まったく異なるものなのに、無理やり大学案内を雑誌っぽくすると“一見おもしろそうだけど、いざ読んでみると非常にわかりにくい”謎の冊子になってしまいがちです(検索性がなかったり、情報が整理できていなかったり、内容が一部の学科に偏っていたり、などなど

現在、雑誌っぽい大学案内がほとんど見られなくなったのも、ここらへんが理由じゃないかと思います。


■大学案内の代わりに雑誌をつくる

じゃあ、近大の大学案内『Kindai graffiti』はどうなのかというと、これは“雑誌っぽい”大学案内ではなくて“雑誌”です。絶対に伝えなくてはいけない情報もなければ、検索性もそこまでなくていい、学科情報を均一にあつかう必要もない。近大とは何かを伝えるための雑誌です。

近大がこれをできたのは、教育内容をしっかり伝える学科パンフが別にあり、情報の棲み分けやツールの使い分けがしっかりできているからです。そして、(教育内容というより)まずは近大を知ってもらいたいという想いが強くあったからのように思います。

そしてこの想いは、大学案内だけでなく、わざわざこの大学案内の意図やイメージを伝えるためのウェブページやPVまでつくり、プロモーションをかけているところからも伝わります。

雑誌を大学案内にするというのは賛否両論が出そうです。しかし、前のめりに大学を知って欲しい、大学案内を読んで欲しいという気持ちがあり、それが具体的なカタチや行動になるのは、受験生にとってうれしいことだと思います。

恋愛でもスカした男子よりも、積極的にアピールしてくる男子の方がモテるじゃないですか。きっとそれと同じ感じ。この洗練されているけど、汗臭いところが、近大のモテる理由なのかもしれません。



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