2015/03/15

入試をもっとエキサイティングに(東大・京大・阪大)


3月も半ばとなり、今年度の入試もそろそろ終わりを迎えます。こんなタイミングに次年度以降の入試の話をすると鬼に笑われそうな気もしますが、次年度に東京大学と京都大学で、次々年度より大阪大学で推薦入試が本格的に取り入れられるようになります。

日本のトップ国立大学が、こぞって推薦入試に力を入れていくというのは、なんか入試の“潮目”を見るようで、ちょっとワクワクしてきます。


 ◎東大推薦入試、全学部で100人募集 2016年度から
  (日本経済新聞)

 ◎京大でも推薦入試 16年度から100人程度
  (日本経済新聞)
  (朝日新聞デジタル)


■手間ひまかかるAO入試
東大、京大、阪大で取り組もうとしている推薦入試は、高校時代の成績だけでなく、各学部で求める人材像に即した人物を面接や課題などを通して選考する入試になり、いわゆるAO入試になります。

AO入試というと、筆記試験ではわからない、受験生のポテンシャルや人間性、将来性を見ることに主眼を置いた入試方法です。でもというか、もちろんというか、これら資質はそう簡単にわかるものではありません。だから選考は、書類審査、課題提出、面接など、非常に手間がかかるものになります。私立大学のなかには、この手間を省略して安易に合格を出すところがあり、それが批判の的になることもしばしばあります。

■相性、という新しい選考基準
その人の内面を見るために、あの手、この手と試験を課す……。これって、就職試験と通じるところがあるように思います。ただ就職試験の場合は、ポテンシャルや人間性とともに、自分たちの組織に合っている人材かどうかも同じくらい重要視します。

この“自分たちの組織に合っているかどうか”という視点は、今のところAO入試ではほとんど語られていないのですが、でも実はとても重要になると思うんですね。

今の世の中、大きな企業でもブラック企業と言われているところが多くあり、働き方が合わず鬱病になってしまう社会人だって社会問題になってしまうぐらいたくさんいます。こういった実情から、会社のネームバリューより、相性を重視して就職先を選んだ方が、企業にとっても、学生にとっても、良い結果が生まれるようになってきているように感じます。これは大学にも言えるのでは、と思うのです。

■さよなら、偏差値
偏差値という画一的なモノサシだけでは、その大学が自分にとっていいのか悪いのかはわかりません。わかるのはその大学が自分の現在の学力に合っているかどうか、という1点だけです。だから、この事実を指針にして大学を選ぶというのは、非常にリスキーなように思えてならないのです。でも、しっかりとした手順を踏むAO入試なら、大学と受験生が多角的に接点をもつことができ、このリスクも減らせるように思えます。

それに、就職活動は学生が企業を見る場という意味合いがありますが、AO入試を受ける受験生もこの入試を通して大学を見てやろうという気概で臨めば、AO入試に緊張感が生まれるし、より意味深いものに変わっていくように思います。

なんにせよ、単なる受験生獲得の手段ではないAO入試を、日本のトップ国立大学が本格的に取り組みはじめるというのは、象徴的な出来事です。これを機に、入試が無機質な試験の場から、大学と受験生がぶつかり合うエキサイティングな場に(部分的にでも)変わっていけば、すごくワクワクするなぁと勝手に期待しています。

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