2014/10/04

つながりの遺産を引き継ぐ(千葉大)


都心の駅周辺を歩いていると、ぽつぽつと大学のサテライトキャンパスが目につきます。これらサテライトキャンパスは、一般の人が通いやすい、利便性を重視した場所につくられるのが鉄則です。しかし、千葉大学のサテライトキャンパスは、どうもこの鉄則が当てはまらない、ユニークなもののようです。

以下、朝日新聞デジタルより。


千葉大、廃校を地域研究の拠点に 来月開校 
廃校になった千葉市美浜区高浜の市立高浜第二小学校が、千葉大学のサテライトキャンパスとして生まれ変わることになった。同大は少子高齢化など地域社会の課題について、現場近くで学際的研究をすることを狙う。地域へのお披露目の意味をこめ、10月4日に開校式を開く。(後略)


このサテライトキャンパスは、廃校を利用しているんですね。大学の廃校を利用した施設というと、京都精華大と京都市が共同運営する京都国際マンガミュージアムなんかが有名です。京都国際マンガミュージアムは何度か足を運んだことがあるのですが、建物全体に懐かしい雰囲気がして、小学校だったからこその心地よさを感じました。きっと、このサテライトキャンパスにも同じような心地よさがあるように思います。

また、地域の拠点に廃校を使うのは、なかなか理にかなったことのように思います。というのも、公立の小学校や中学校の場合、通学してくる児童・生徒は、ほとんどが地元の子どもたち。そして、子どもたちのまわりには、親や兄弟、おじいちゃん、おばあちゃんと、さまざまな人がいて、子どもが学校に通うことで、これらすべての人が学校を身近に感じるわけです。そして、そんな児童・生徒が毎年、大量に入学してくる……。そういう意味では、小学校や中学校は、ただ日々の業務をこなすだけで、地域とのつながりが勝手に強まっていくといえます。

廃校をサテライトキャンパスに使うのは、そういう機能があった場所を再活用することに他ありません。もちろん廃校だから、いま現在、児童はいません。でも、高浜第二小学校が廃校になったのは2012年とつい最近なわけで、元 児童やその関係者は地域にまだたくさん残っています。その“つながりの遺産”を引き継いで運営できるというのは、大きなメリットになるに違いありません。

大学を地域や社会に開かれた場所にする、というのが、大学がサテライトキャンパスを開設する目的の一つです。だから、都心につくるというのも、もちろん利に叶うのですが、小学校のように地域のコミュニティの中心になっていた場所につくるというのも、考え方としてかなりアリなんじゃないでしょうか。

とくに学校は地域の人たちの思い出が色濃く残る場所なわけで、何らかのカタチでこの場所を残して欲しいと思っている人が必ず多くいるはずです。そんな場所を大学が存続させるとなると、それだけでも大学と地域の関係がかなり良好になるように思います。

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